Japanese Murrelet

(Synthliboramphus wumizusume)

カンムリウミスズメ

日本、韓国の離島で繁殖するウミスズメの一種。ウミスズメとはほぼ同じ大きさであるが、換羽が顕著であり、頭部の白黒のパターンが異なることで識別できる。三重県内では紀北町の離島、耳穴島で繁殖する。


繁殖

他の多くのウミスズメ類と異なり、暖帯海域で繁殖する。ロシアのウラジヴォストク近郊のピョートル大帝湾でも幼鳥が見つかっており、繁殖の可能性があるが、確証はない。

日本での繁殖地は三重県耳穴島の他、宮崎県枇榔島、京都府沓島、福岡県沖ノ島属島小屋島、伊豆諸島等が知られている。離島の絶壁の岩穴などを巣とし、ヒナが孵化するとすぐに海に出るため、繁殖つがい数の推定が難しい。

国際自然保護 (IUCN)の推定では成鳥で10,000個体を越えないとされている。最近の公益財団法人日本野鳥の会の調査では、伊豆諸島で1,000羽程度が棲息すると推定している。本種は環境省レッドリストでは絶滅危惧第II 類(VU)とされ、さらに国指定の天然記念物とされている。


県下の繁殖地

紀伊長島沖の耳穴島で繁殖する。繁殖数は不明である。周囲には大島、赤野島など多くの無人島があるが、耳穴島以外での繁殖は確認されていない。ドブネズミなど陸上捕食者の影響も考えられる。

12月頃紀伊長島沖の海域に現れ、3月頃にはつがいを形成し、3月末から4月にかけて産卵する。24 ないし25 日の抱卵の末、生まれた雛はすぐ海へ入り、親鳥に伴われて過ごす。5月にはこの海域を去る。

繁殖期以外にこの海域でこの鳥を見かけることはまずない。この海域でもレジャーの海釣りが近年は盛んで、無人島に上陸し、長時間滞在し、また、繁殖期に高速で繁殖地周辺を航行するなど、繁殖の妨害になる行為があとを絶たない。

同海域は国設鳥獣保護区に指定されているが、環境省も有効な対策を講じえていない。また、近年の営巣状況の調査では卵殻が見つかっているが、繁殖数は不明である。

海鳥の繁殖地ではしばしばドブネズミにより、大きな打撃を受けるあるいは絶滅することがある。繁殖地は無人島であり、本来ドブネズミはいないはずであるが、漁船や防波堤工事などの作業船によって運ばれ、定着すると繁殖するヒナや親鳥をねらう。九州の沖の島の属島、小屋島ではカンムリウミスズメが侵入したドブネズミにより、絶滅状態である。耳穴島でも調査し、ドブネズミの生息が確認されれば駆除すべきであろう。

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